パチンコ依存問題は未来への福音5
公開日: : 最終更新日:2018/03/17 依存 Comment(4)
行政の問題点
パチンコ業界を所轄するのは警察ですけど、依存症問題で見ると、厚生労働省も関わってきます。
現実を知らない厚生労働省
2013年に発表された厚生労働省の調査では、「日本人の536万人はギャンブル依存症の疑いがある」と発表されました。日本で最も大きいギャンブルをパチンコだと仮定した場合、遊技人口の3人に1人は依存症であるとぶち上げたのです。
「そんな馬鹿な」という印象を持った方も多いでしょう。厚労省の依存基準を用いると、以下のようなお爺さんも依存となります。
私は月に数回1円パチンコを打ちます。老後のストレス解消ですね(笑) 負けた日には今度こそ勝ってやると思いますし、見栄っ張りなので負けても勝ったと嘘をつくこともあります。休日の昼間から打てば妻に文句を言われることもあります。ただ、予定より負ければ今日は夢中になり過ぎちゃったなと反省しますし、己の年金の範囲内で楽しんでいますよ。もちろん貯金もあります。でも大当りすると止められないよなぁ(笑)と興奮s
厚労省「はい、あんた依存症ね! パチンコ依存症! 病的依存!!」
ソース→【日本経済新聞】
パチンコを打つ人からみたら、こんなお爺さんはいくらでもいるし、むしろ健康的なパチンカーでしょう。なのに官僚の基準では「依存」なんですよ。病気なんです。打たない人、現実を知らぬ人の作る基準なんて、こんなもんなんですね。さすがは厚労省、裁量労働制のアンケートにおいて政府の足を引っ張っただけはあります。
そんな厚労省により打ち出された依存関連の対策は、国内で積み重ねた症例や数値に裏打ちされておらず、目標値の根拠に乏しく、定義づけのあいまいなまま調査を重ねました。生まれた対策はトンチンカンで、当然のこととして問題解決に至りません。実際、厚労省の対策で依存の減少を確認できたデータはありません。
警察庁の怠慢
根拠に乏しいのは警察行政も同じで、今回の1回あたりの出玉規制(2400発→1500発)は、依存を増やす可能性がありますよね。1500という数字を導き出す際、何の検証もしていないのですから。これは行政の怠慢です。
北斗無双(2400発)なら依存せず、海物語(1500発)なら依存しないとでもいうのでしょうか。ならばなぜ海物語は10年以上の長きに渡りトップシェアを続けているのでしょうか。「警察は想像以上に無能だった」という業界人の多さも納得できます。
突然降って湧いた話だから・・・という言い訳は通じません。皆さんもご存知のリカバリーサポートネットワーク(以下、RSN)の誕生は2006年。既に12年物年月を重ねているのです。監督官庁として怠慢の一言でしょう。
問題解決のために対策を取るならば検証を怠ってはならないし、問題化しないための根拠ある予防も必要です。行政の示す努力義務は強制力を持つわけで、強制力を持つ以上、エビデンスに沿っていないと困りますよ。行政は間違えないという「官僚の無謬性」に依ってしまうと、被害者の増大を招く可能性すらあるんです。
行政の依存対策には根拠がない
- 問題解決には対策が必要
- 対策するには調査が必要
- 調査するには定義が必要
- 定義付けには根拠が必要
- 根拠とは積み重ねた検証結果である
厚労省にせよ警察庁にせよ、定義付けすらできないまま走り出しました。当然、依存へ至る原因は不明で、治療も確立されない。拙速に過ぎる対応となったのはなぜなのでしょうか。
拙速な対応をした理由
官僚組織は自ら積極的なリスクを負いません。国民からの批判や政治家からの圧力を受けない限り、または自らの「省益」でもない限り、根拠のない対策を自分達で行うことは希です。
今回はIR法案(いわゆるカジノ法案)を通したい政府与党ならびに一部野党の意向により、厚労省は依存対策の骨子を求められました。
カジノは世界から人を集めます。である以上、世界標準の対策とかけ離れてはなりません。しかし、カジノ基準を世界から求めた結果、パチンコにはあてはまらない内容となってしまった。結果、パチンコ人口の1/3は依存症だと発表し、醜態をさらしたのです。
ちなみに厚労省は4年後の2017年、今度は「320万人だ」と言いだした上、前回の調査とは無関係だと言い放ちました。
ソース→【日本経済新聞】
効果のある対策をとるには、何年も前から検証を重ねねばなりません。世界の研究者はカジノについて「事実に基づいた対策」を積み上げてきました。しかし、パチンコは無い。やっていなかったんです。
IR法案でクローズアップされたのはカジノだけでなく、「じゃあパチンコはどうなんだ?」という世論。当たり前の問いに対して、警察庁も厚労省も、答えを用意していませんでした。パチンコの歴史は70年にも及びます。行政の不作為は強く批判されてしかるべきでしょう。
次回予告
次は事業者の問題点です。正直なところ、パチンコ依存については業全体で対応せねばならず、個別の事業者は現在、できることは少ないんですよね。
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Comment
「官僚組織は自ら積極的なリスクを負いません。国民からの批判や政治家からの圧力を受けない限り、または自らの「省益」でもない限り、根拠のない対策を自分達で行うことは希です」
昨今の様々な問題は結局これにつきるんだよね。
政府なり政治家なりが思いつきでなんか言ったり、マスコミが煽ったせいで国民が騒いだりする。
すると、官僚はそれに合わせた行動をするわけで、その時になって初めてその行動を正当化してくれる「科学的根拠」とやらを探してくる。正当化してくれないデータは無視したり、隠したりしてね。
ましてや人事を政府に握られたら、そりゃ忖度もするわね……。
責任を取る人の無責任って感じでしょうか。
責任を負いたくないからリスキーなことをできず、しかもバブル崩壊後はそういう人材こそ求められた。
上から下まで命令待ち、みたいな。
世間の騒動に焦ってから根拠を集め出すから、当然いかがわしいものも混じってくる。
キングオブ官庁の財務省ですら公文書偽造をやらかすわけで、日本の官僚組織は制度疲労を起こしてるんでしょうね。
p://livedoor.blogimg.jp/dondonosigoto/imgs/c/a/cac5b6dd.jpg
そもそも換金行為が行われていること自体を認識していないから「ギャンブル」と捉えられないんじゃないかすら
ほんといきなり初っ端から詰みの状況でのスタートなんで、そりゃ歪みも出てきますよねー
これは本当に衝撃だった。
業界の常識は世間の非常識なんだよね。
警察としてはホールで換金してないって意味なんだろうけど、世間は呆れますわ。
法律を整備するしかないなって思います。