ビジネス会計検定試験3級・8 貸借対照表における流動と固定の並べ方

2019-10-02 02:09ビジネス会計検定3級

流動と固定の並べ方とは

一般的に貸借対照表は、負債と資産それぞれを流動と固定に分類してあります。さらにそれぞれを仕入れから販売までの1サイクル(正常営業循環基準)で項目分けする。正常営業循環基準は製造業向きなので、うまく分けられない場合は1年単位の取引で分けます(ワンイヤールール)。

分けたら今度は並べます。流動性の順番に並べます。流動性とは現金化しやすさのこと。注意点としては、勝手に相殺しないこと。

 

それってどういうこと?

流動資産を流動性順に並べるとはこんな感じ。

 ・現金や預貯金
 ・受取手形
 ・売掛金(未回収の代金)
 ・有価証券(株や社債)
 ・棚卸資産(商品・完成品)
 ・棚卸資産(仕掛品・未完成品)
 ・棚卸資産(原材料・その他)

 

続いて「相殺するな」という意味。

下の例では、支払ってない商品代金と回収してない商品代金が1,000万円ずつありますけど、「差し引きゼロやな!消したろ!」というのはダメなのね。両方書かないと会社の中身を把握できません。必ず総額を記入します。

もしも商品代金の左右を相殺したら、合計は左右とも9000万円になっちゃうでしょ。1億円の資金を使う会社なのにおかしいよね。勝手に相殺させまくると記載される情報量はドンドン減っていく。資金の調達源泉も運用形態も分からなくなっちゃう。だから相殺せず、ちゃんと総額を記入しなきゃいけない。

 

どうして必要なの?

項目を流動性配列法に従って並べると、会社の粘り強さを把握しやすくなります。

ちょっと見てみましょうか。

 

藤商事の資産(平成30年9月30日)

まず豊富な現金を持っていると分かります。棚卸資産の「商品および製品」の少なさから売れ残り在庫は極小なのだとも分かる。仮に棚卸資産の「原材料」すべてが使い物にならなかったとしても、豊富な現金でカバーできるということですね。

 

京楽の資産(平成28年6月30日)

一方の京楽産業.。資産そのものは藤商事の2倍以上あるけれど、流動資産をすべて一括で表示しているから、持っているのは現金にしやすいものなのか、捌く見込みのない棚卸資産(商品や部品)なのか分かりません。

注:京楽産業.は危ないと言ってるわけではないよ。この貸借対照表では判断できない、というお話です

 

ムダ知識

流動性配列にしても相殺禁止の総額主義にしても、重要だからこそルールで決まっている。逆にいえば重要じゃないなら細かく分けなくていい。

印西市の吉田さん宅の近くにある工場・100万円
大網白里駅前にある古ぼけた工場・400万円
成田空港を望む丘にある新しい工場・500万円

工場・1000万円

 

まとめ

資産も負債も、流動か固定かで分けろ。分けたら流動性の順番で並べろ。あと、勝手に相殺して項目消すなや。

 

2019-10-02 02:09ビジネス会計検定3級

Posted by epachinko