なぜヒット? 100日後に死ぬワニ

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きくちゆうきさんが100日間にわたってツイートした4コマ漫画

毎日漫画をアップする時点で凄いのだけれど、基本的に起承転結もストーリーもありません。姿がワニなだけで、描かれているのはごくごく普通の日常、ありがちな(つまらない)日常なんです。

ただ一つ、見るものに与えられている情報がある。

それが「100日後に死ぬワニ

そしてこの最も重要な情報は、ワニ本人へは与えられていない。

40日目あたりから、きくちゆうき氏は毎日のイラスト以外を上げなくなります。氏が近付くにつれ、徐々にファボリツは増えていきました。

今日、100日目を迎える

ファボ64万。期待は頂点に達しています。

既に二次創作として100日目が数多く作られる人気ぶり。

ご本人には失礼なんですが、誰でも掛けそうな感じゆえ、よけいに盛り上がります。

なぜ「100日後に死ぬワニ」は盛り上がるのか

どのような死に方をするのかは今日分かるんですが、盛り上がる根幹は事故や災害で突然亡くなる切なさ、悲しさは誰でもよく知っている。日常は突然崩れるのだと知っているからこそ、目を離せなくなる。

今回の場合、「ある日」は「唐突」に「伏線」など語るひまもなくやってくるのは「ワニ」だけなんですね。私たちは観察者の立場になる。

これ、歴史小説や大河ドラマと一緒です

織田信長は本能寺で死ぬと分かっていながら、視聴者はそこへ向けて突き進むストーリーを何度も何度も楽しむ。ちょうどNHKで「麒麟がくる」をやっていますけど、明智光秀が「敵は本能寺にあり!」と叫んだ数十分後、あるいは翌週に死ぬんです。だけど視聴者はそのセリフと、燃えさかる本能寺の中で敦盛を舞う信長を待つ。

死ぬ日も死ぬタイミングも全て知る歴史の観察者となり、その一瞬を舐めるように味わい尽くす

洋の東西を問わず、歴史物の醍醐味でしょう。 もしもこの4コマ漫画に死を予告する文言が含まれていなかったら、間違いなくここまでヒットしていません。ピンポイントでこの日に死ぬと分かっているからこそ緊張感を持続できる、盛り上がれる。 予告された"死"に向かい進む無慈悲なストーリーは定番中の定番。観察者の視点を、虚飾を排し、情報を絞りに絞って採用したがゆえに盛り上がったのです

さあ、観察者として見届けよう。彼の死に様を

今回のワニは歴史上の人物と違い「死に方」が分からないため、見るものの想像力をかき立てました。これ、死んでも死ななくても、全員を納得させることは不可能でしょう。作者は以前から100日目を準備していたはずですが、最初と今とでは構想が異なるかもしれない。ましてや絵本の発刊が決まる前と後では!

ニコニコ動画では「100日後に死ぬワニの最後をみんなで見守る放送」まで行われるようで、久々にネット界隈での大きなムーブメントになっています。毎日19時に投稿され続けましたから、おそらくワニの死は今からちょうど8時間後、3月20日19時なのでしょう。

正直私は「くっだらねーw」とスルーしていたんです。天邪鬼というか、流行り物には乗らない方が格好いいという、中二病をこじらせたままの中年メンタリティです。

なのに99日目、突如興奮しました。

あ、こいつ明日死ぬのかと思った瞬間、胸がざわついた。我が事のように感じた。ひょっとしたら今日、俺はパチンコ屋へ行く時に死ぬかもしれないし、買い物へ行く時に死ぬかもしれない。ベッドに寝たまま二度と起きないのかもしれない。

そして今、壁の向こうで「観察者」が見ているのだとしたら・・・・・・

おまけ・ガスパッチョのCM

覚えてます? 突然タイムスリップしてきた織田信長が、妻夫木くんと現代生活を楽しむシリーズ。その最終回、信長は元の時代に戻ります。

信長「じゃあ、本能寺戻るわ!」
妻夫木「え?」

これもまさに観察者の視点です。視聴者も妻夫木くんも本能寺の意味を知っているのに、信長本人だけは知らない。CMは2007年のものですが、エッヂの効いた良い作品でした。

・・・・・・気付かれた方も多いと思いますが、この信長、ピエール瀧なんですよね。

どう思いました? 観察者として。

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Posted by epachinko