【決算】フィールズ 3年連続通期赤字からの脱却 SANKYOは同社株を35万株売却

パチンコメーカー, ビジネス会計検定3級

フィールズの決算が出たので勉強のために見てみることにしました。

過去3年分の業績

単年では何とも言えないので、過去3年分をザッと見てみます。

2017年・▲90億6800万円

▲90億6800万円

2018年・▲52億400万円

▲52億400万円

2019年・▲13億9600万円

▲13億9600万円

赤字幅は縮小してますけど、パチンコ台を製造していない販売会社が3年連続の赤字って大変なことよ。コロナ前でこれだからね。パチンコ業界は既にどれだけ衰退していたのかよく分かる。

2020年・黒字転換9億3900万円

うお、すげぇ!

当初の目標であった1,500億円の黒字には及ばなかったものの、これだけ機械の売れない状況でよくぞ黒字転換したと思います。

昨年の詳細資料を見ていたら気になる点がいくつか出てきたので掘り下げてみます。勉強のための掘り下げであり、今年の話ではありませんのでご注意ください

増える現金、増える在庫

フィールズ社・2019ファクトブックより

気になったのはここ。昨年まで3年連続で赤字を出していたのに現金を47億円も積み増してるんですよ。 販社であるフィールズはメーカーからの仕入れや業者との取引があるから現預金を多めに持っておかなきゃいけないのは分かるけど、どういうことやねん。

これ、どうも固定資産(特に土地)を売って現金化したみたい。

コロナウイルスの影響で現在の不動産市場は凍結状態。そして多くの企業は現金不足に陥っています。フィールズは活況なうちに土地を売って現金化しておいたわけで、偶然なのか戦略なのかは分かりませんけど、スゴイよねこれ。

メーカーから仕入れて卸す際の機械代金回収方法

メーカーから販売委託された際の機械代金回収方法

分からないのは在庫の増加

棚卸資産(在庫)は2年で64億円も増えてた。てっきりメーカーから仕入れ(買い取り)した分の在庫と思ったら違うの。詳細を見てみると、一昨年から昨年にかけて製品在庫ではなく、原材料や仕掛品(製造途中の製品)を大きく増やしてるのよ

原材料を22億円分、製造途中の仕掛品を20億円。

フィールズ、工場でも持ったんか!?

それともリユース用に回収したとか??

でもリユース用の部品だとしたらどこに保管するんだよって話だ。

販売管理費の激減、長引く不調

フィールズといえば金をかけた展示会が有名でした。エヴァの展示会といえば品川駅前のプリンスホテルでしたよね。ああいうの、減ったと思いません?

フィールズ社・2019ファクトブックより

広告宣伝費は2年で1/4にまで落ちました。その額、驚きの29億円! 

そして給料も2割近く落としており、フィールズの社員さん・・・・・・。

財務の中の人は優秀だが

固定負債の減少と流動負債の大幅増加を確認できました。つまり返済期限の近い債務を多く抱えているということ。

ただ、前述の通り固定資産を売却して現預金を増やしているので財務は健全じゃないかな。繰り返しになりますが一昨年、まだ不動産が活況だった中で土地を手放し流動化させたのは大ファインプレーでしょう。中の人は優秀だと思う。

フィールズの苦しい理由はただ一つ。

機械の売れ行き不振

パチンコ販売台数の推移

フィールズ社・2019ファクトブックより

どうみても問題はビスティだよね。

業界関係者だけでなく一般ファンでもお分かりの通り、エヴァです。フィールズの命運を握ってるのはエヴァンゲリオン、つまりエヴァを作ってるSANKYOなんですよ

パチスロ販売台数の推移

フィールズ社・2019ファクトブックより

エンターライズ(カプコン)はこの御時世に経常利益を伸ばしており、これからも優良なコンテンツを作ってもらえるといいですね。

やはりサミーとの関係を悪化させたのはどう考えてもマズかったよなぁ。結果としてスロットもSANKYOの影響力は強まったと。

と、ここまでが昨年のおさらいでした

SANKYO、フィールズ株を市場で売却

って、いきなりこれは驚いた。

オーナーの山本英俊氏に次ぐ株主であるSANKYOは、4月9日から毎日少しずつフィールズ株を市場で売却していたのです

ざっと電卓を叩いたところ35万株!? しかも市場で売却っすか。エヴァで命運を握ってるSANKYOが、なぜ・・・・・・。

この間、フィールズの株価は横ばいです。クラッシュさせぬよう少しずつ売っていったのか、そもそもの売却額が少ないのか。

これによりSANKYOの持ち株割合は9.8%→8.8%へと下落。SANKYOも大幅減益の決算を発表しているだけに苦しいとは思うけど、すぐ売却しようとする理由は分かりません。

2020年決算で注目したい点

長くなったので2020年決算はまた次の記事にて。

売却できる資産は減っており、支払いの迫る短期債務は増えている。広告宣伝費や従業員給料の圧縮は既に行っているため、「絞れるところは全部絞った」という形になったのが2019年決算でした。早い段階での機械販売好転が望まれるといった感じでしょうか。

浅い知識で決算発表を眺めていますが、もっとしっかり勉強し、企業の内情を読み取れるようになりたいですね。