とある県のとある病院で「いかがっすか?」
母の緩和ケアと、その後にある死亡診断書をお願いしに、とある病院へ行きました。いつもの大学病院から預かっていた、診療記録とCDを渡します。
大学病院は救急救命の役割を担っているため、先の無い母をこれ以上は置いとけない、てな感じ。
一通り説明し終えたところで、看護師さんが僕の年齢を尋ねるんですよ。いや、僕は健康体ですと訝しみ、医師も同様に訝しんだ。
看護師「今日ワクチンが余っちゃいまして。いかがですか?」
( ゚д゚)ポカーン
は?
余ったワクチンいかがですかって、閉店間際の定食屋で残りの唐揚げを配るような気楽さで言われた。
希釈してしまうと保存ができないらしく、キャンセル分は廃棄するしかないらしい。40歳だか45歳だかを過ぎてると打てるらしく、いかがっすか? という流れになったもよう。
医師、大爆笑。2回ワンセットだから、3週間後の2回目接種分も自動的に確保されてしまった。
そんなことある?
帰って家族に報告したら、もちろん爆笑されて。久し振りに母の笑顔を見たよ。ありがとう、キャンセルした人。
そしてこの病院へは、母の用件が無ければ存在すら知らなかった。つまりこれは、息子への最後のプレゼントなのだろう。
看護を終えたら、呆ける事なくすぐに仕事を再開せよと、働かざる者食うべからずを通した母、敏子からの叱咤激励なのだと思った。母ちゃん、ありがとう。
妹「あたしは?」