謎の勢力「醤油にワサビを溶くのはマナー違反!」
好きに食わせろや。
刺身の上にワサビを乗せて食べる人は、トンカツを塩で食べがちだと思うんだが、これは偏見だろうか。
客は美味しいと感じたいし、料理人は美味しいと感じてほしい。言語外のコミュニケーションをより良い物にするのが〝マナー〟であり、いわば添え物。添え物が〝食〟の価値を毀損するならば、それはもう間違ってるんだよ。
「誰に対する(何に対する)マナー違反なのか」という視点が欠落している。周囲を不快にさせないのがマナーであり、不快を創出しては本末転倒だよ。
本ワサビを上位に、練りワサビを下位に見る人もいるよね。これも上か下かではなく、魚をどう引き立てるかに掛かってくる。ワサビは刺身を引き立てる脇役であり、主役は魚。主役を差し置いてマナーうんぬん言うのは、〝食〟の本筋から外れるんじゃないかな。
なお個人的には……。
刺身の上にワサビを乗せて食べると、突き抜けた辛味の後に魚の旨味が来る。白身の魚は〝上乗せ〟の方が美味しいと思う。
逆に溶いて食べると、ワサビの辛味は醤油で緩和され、魚の旨味と渾然一体となって別の味わいを醸し出す。味の濃厚な赤身ならワサビ醤油に負けないから、溶いた方が美味しいと思う。